敦賀駅から小浜線に乗り、小浜駅で降りた。以前小浜線に乗ったときは、下車することが叶わなかった駅だ。
今回も潤沢な時間があるわけではなかったが、小浜の町を一度歩いてみたいと思った。
鯖街道ミュージアム
小浜に関心を持つようになったきっかけは、やはり「鯖街道」だと思う。
鯖街道とは、日本海側で水揚げされた魚介類、特に鯖を京都に運ぶために使われた複数のルートの総称である。中でも代表的なのが、小浜と京都を結ぶ「若狭街道」だ。小浜は、その起点として栄えた。
小浜駅から10分程度歩いたところに、鯖街道の起点を示す碑と、「小浜市鯖街道ミュージアム」がある。
館内には鯖街道についての展示が設けられており、係の方が概要を説明してくれた。非常に興味深い内容で、もっと詳しい話を聞いてみたい気がしたが、スケジュールの都合で早々に後にすることとなった。少し申し訳ないような気持ちになった。

小浜西組
次に、「小浜西組伝統的建造物群保存地区」を訪れた。いわゆる「重伝建(重要伝統的建造物群保存地区)」に選定されている地域で、古い商家町・茶屋町の面影を残している。江戸期に街が再整備された際、東・中・西の3組に分けられたそうだ。
同じ福井県の熊川宿が、鯖街道の宿場町としての景観を評価されて選定されたのに対し、小浜西組は港町としての生活と文化の蓄積を物語っている。
人通りは少なく、時間があれば街並みをじっくりと味わうことができただろう。
ただ、実際にはその余裕は余裕はなく、早々に駅へと引き返すこととなった。

街を歩くということ
今回は時間が十分に無かったとは言え、若狭湾を眺めることすらしなかったのは、今思えば少々もったいなかったような気がする。
ただ、今回の2箇所を見るだけでも、小浜の街のポテンシャルをひしひしと感じ取ることができ、「今度は時間を作ってしっかりと見て回りたい」と、あらためて思えた。
興味を持てるというのは、それ自体が収穫だ。実際に街を歩き、現地の空気を吸うことの効用の一つがそこにあるのだと思う。