#5. 車山に登る|幸運な2つの景色

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朝の散歩と朝食を終え、いよいよハイキングへと出発する。

ホスピタリティの感じられる良い宿だった。ご主人が撮られたのであろう、周辺の写真が飾られていて印象に残った。

我々は車に乗り、登山口に向かった。天候にはやや不安があったが、幸いにも今のところ雨は降っていない。

登山口は、昨日に訪れた車山ロープウェーの山麓駅と同じ場所にある。我々は軽く準備運動をした後、歩き出した。

ガスが多く、山々を見渡すような景色を楽しむには、ベストと言えないコンディションだ。その代わりに、ロープウェーなどの支柱や食堂といったちょっとした建造物、鳥や草花など、ささやかな発見を楽しみながら登っていく。

車山登山道_2407霧ヶ峰

歩くこと1時間と少し、山頂に到着した。

山頂の空気は想像していたよりも一回りひんやりとしていた。重ね着するための装備を持ってきていて助かった。山の気温というのは、何度経験しても読みにくい。だがこれもまた、登山の醍醐味だ。

相変わらずガスが多い。だが幸運にも、ときおり強い風が吹き付けることで、雲が切れる瞬間がある。その僅かな間だけ、雄大なアルプスの景色が顔を覗かせ、我々に畏敬の念を抱かせる。つかの間、新しい雲が現れ、視界は白く閉ざされる。

車山からの眺め_2407霧ヶ峰

しばらくの間、山頂を散策して楽しんでいたが、そう時間が経たないうち、天候が悪化する気配が感じられるようになった。これ以上の長居は避けたほうが良さそうだ。我々はそそくさと下山をはじめた。

登山口まで戻った後、車に乗り込んで帰途についた。

再びビーナスラインを引き返していくと、昨日は霧に閉ざされて見ることができなかった景色が目の前に現れた。ニッコウキスゲの群落だ。鮮やかな黄色が山の斜面を埋め尽くしている。まるで黄色い海原のようだ。こんな景色があったとは、昨日は全く気づかなかったのが嘘のようだ。

友人に車を停めてもらい、写真を撮る時間をもらった。僕以外にもカメラを携えた人が多くいて、撮影に勤しんでいた。

もし晴れていれば青空と花の色のコントラストがいっそう美しかったろうと思う。だがそれでも、この景色を見ることができただけで十分だ。僕はここでも幸運を感じた。

ニッコウキスゲの群落_2407霧ヶ峰

我々は街に降りた後、昼食を取る店を探した。やはり長野に来たら蕎麦だろうと2人でいろいろ調べたのだが、思いの外営業中の店が少なく、なかなか決まらない。これはと思った店に行ってみても、やはり営業していなかった、ということもあった。

最終的に、「小木曽製粉所諏訪IC店」で蕎麦にありつくことができた。某うどんチェーンみたいなシステム(天ぷらや薬味などをセルフで取るスタイル)の店だった。

旅先でこのようなチェーン的な店に入るのは、少々面白みに欠けるのかもしれない。だが、このような店舗があるということ自体が、その土地の風土や食の嗜好の違いを表しているように思える。そうすると、これも立派な観光になり得るのではないかと、少なくとも僕は思う。

食事を終えた後は、友人の希望で諏訪大社に立ち寄った。

その後再び岐阜羽島駅まで送り届けてももらい、そこで解散となった。長時間の運転をしてくれた友人に感謝を述べて別れた。

最後に、この場でも改めて感謝を述べたい。